脳に重大な欠陥を負ったヨタモノ

TRPGとかTCGとか仮面ライダーとかソシャゲとか…

【DX3rdシナリオ】Runaway force

トレーラーなど

 

公式シナリオを読んでいるとオーヴァードになってしまった悲哀やいずれジャームになってしまう危機感と言った感覚があまり出ていないのかなと思ったので書きました。

DXは人間と化け物の間でもがき苦しむダークな世界観が好きです。

推奨人数:3人(もっと多い場合は設定生やしてください)



ストーリー

PC①は、FHエージェントに追われる少女松井紗季を助ける。

キミたちの前に現れたFHエージェント、コレクターFHの戦力増強のため、紗季を入手せんために活動をしている。

コレクターを倒し紗季を助けるとシナリオは終了。

 

トレーラー

昨日と同じ今日、今日と同じ明日。このままの日々が、ずっと続くと思っていた。

だが、世界は知らぬうちに変貌していた。

きっかけは、FHに追われる少女を助けたことだった。

幼い少女の力は暴走し、周囲を切り刻む。

私は生きていちゃいけない悪魔だって言うんです。私は死んだ方が良いのかな

 

PC①用ハンドアウト

ロイス:松井紗季(まつい・さき) 推奨感情 P:庇護/N:任意

カヴァー/ワークス:指定なし/指定なし

キミは深夜の路地裏でFHエージェントに追われていた少女を助けた。

彼女、松井紗季は自らの力を制御できず苦しんでいるようだ。何とか彼女の助けになりたい、キミはそう思った。

 

PC②用ハンドアウト

ロイス:コレクター 推奨感情 P:任意/N:脅威

カヴァー/ワークス:指定なし/UGNチルドレン

キミは以前、コレクターと名乗る極めて危険なFHエージェントと戦闘になった。

戦いは熾烈を極めたが、決着はつかずコレクターは姿を消した。

奴は再び姿を現し、活動を始めたようだ。キミは奴を追っている。

 

PC③用ハンドアウト

ロイス:ベレト 推奨感情 P:任意/N:任意

カヴァー/ワークス:指定なし/UGN支部

キミはN市のUGN支部長を務めている。

キミの元に突然現れた黒猫はキミの脳内に直接話しかけてきた。

『オレの名はベレト。お前に頼みがある』

 

 

オープニング
シーン1(PC①)
◆解説
pc①→ヒロイン、ネコ、ボスに遭遇する。
ヒロインがボスに追われているシーン。このシーンではヒロインの力でボスに手傷を負わせる。
ヒロインの力を確認したボスは嬉しそうにしながらも撤退する。
ヒロインの名前:松井紗季
ボスの名前:吉武 准
ネコの名前:ベレト

▼描写
夜の繁華街路地裏。表の光届かぬ暗闇の世界。
黒猫を抱えた少女――松井紗季が必死に走っている。スーツ姿の男は悠々と歩いてその後を追う。
少女は小さな体を活かし、大人では通り抜けることが困難な狭い路地裏を息を切らしながら駆ける。
だが、幼い彼女はネコを抱えながらの不安定な疾走により遂に立ち止まってしまった。
紗季の抱える腕の中でネコが不安そうに一声鳴いた。安心させるように一瞬笑いかけると足に力を込め、走り出そうと顔を上げる。
「鬼ごっこは終わりですか」
つい先ほどまで紗季を追跡していた男が眼前に立っていた。
驚きと恐怖で心臓が破裂しそうになる。紗季の喉から悲鳴が迸る。
「そんなに叫んではダメです。もう良い時間なのですから近所迷惑ですよ?」
ネコが紗季の腕の中からするりと抜け出すと男に向けて歯をむいて威嚇する。
「誰か助けて!誰か!」
紗季はなりふり構わず叫ぶ。世界にはきっと私を助け出してくれる人はいる。そう思いたかった。
「誰も助けになど来ませんよ」
気づくと繁華街から遠く聞こえていた喧噪すらも聞こえない。いつの間に張られていたのだろうか、これはワーディングだ。
「さぁ、一緒に来てください。貴女の力はFHでこそ生きる」
彼女に手を伸ばしかけ、そして――

(と言うところでPC①登場)

「私はコレクター。FHのエージェントです。以後お見知りおきを」

(適当に会話して、適当なタイミングで紗季の能力が暴走する)

世界には助けてくれる人が居る、そう安心したからだろうか。
緊張の糸が切れた紗季の心臓がどくんと跳ねる。
内から湧き出るレネゲイドの力が制御できない。あふれ出す!
「うああああぁぁぁ!!」
瞬間、彼女を中心に風の刃が吹き荒れた。路地にある全てを切り刻む。転がったゴミバケツも、長年の汚れで黒く変色した壁も。……人も。
(この攻撃は達成値15、ダメージ5D10点として扱う)
ネコは瞬時に紗季の暴走を確認すると素早く不可視の刃を避ける。
PC①に意識が向いていたコレクターは避けきれず左腕を深く切りつけられる。
常人であれば、周囲に散乱する切断された室外機やバケツと同様にその左腕は路地に転がっていただろう。
コレクターは苦悶の表情の中に確かな歓喜を滲ませた。
「いやはや、これほどとは……。素晴らしい力です。ですが今日はこれまで。次の機会にはぜひともFHにお招きいたしますよ」
(瞬間退場)
コレクターの体は無数のカードに分解され消えた。
エフェクトを使って疲弊したのか、紗季は意識を失っている。
『紗季の暴走を受けて生き残れるとはお前、運が良いな』
キミの脳に直接女の声が響いた。
『下を見ろ、ここだよここ』
いつの間にか足下にいたネコと目が合う。ネコは人間のようにシニカルに笑うと一声鳴いた。

シーン2(PC②)
◆解説
pc②→ボスとの回想。
ボスの危険さと強さをアッピルするシーン。回想ではpc②がボスに打ちのめされる事を想定している。ただし、pc②の要望があればボスをボコすも逃げられる等改変すること。
現在に戻り、怪死事件の現場。pc②はボスの仕業だと分かる。ボスを止めねば。

(PC②に過去、コレクターと戦闘があったことを伝える)

▼描写
キミとコレクターとの戦闘は熾烈を極め、周囲一体には折れた剣、砕けた銃が散乱している。
コレクターは自身の能力で触れた物を圧縮しカードに封じ込めることができる。また逆にカードから物体を引き出す事も可能。
「貴方は本当にお強い。手持ちのカードがこれしか残っていませんよ」
懐から取り出したカードは既に10枚を切っている。
「しかし、こちらの目的は達成しましたので、それではこれでご機嫌よう」
コレクターは無数のカードに体を分解し、その場を去った。

(時は戻り現代)

キミの携帯に電話が掛かってくる。ディスプレイには馴染みの情報屋の名前。
「以前あんたが戦ったコレクターがまた現れたんだとよ。何でも強大なオーヴァードをスカウトしに来たって噂だ。くれぐれも気をつけろよ」
(PC②が携帯を切ったらシーン終了)

シーン3(PC③)
◆解説
pc③→支部長ポジ。
ネコあたりからヒロインが起こす事件の解決およびそれを追うボスの対処をお願いされる。
ネコがオーヴァードであること、ヒロインの保護を申し出る事を示すシーン。
(人間の時の)ネコに煮え湯を飲まされている。


▼描写
(PC③にネコが現れて依頼を持ちかけることを伝える)
(どこにいて何をしているか尋ねる)
気づくとキミの足下に黒猫がいる。脳内に直接女の声が響く。
『オレの名はベレト。おまえに頼みがある』
『松井紗季という少女を少しの間、預かってもらえないか』
『紗季は制御不能の力で身寄りも無い』
『UGNはオーヴァードの保護もやってるんだろ?元FHのオレがどの面下げてって思うかもしれないが、どうか頼む』
ネコはぺこりと頭を下げる。その体は屈辱と怒りからか小刻みに振動している。
(PC③が了承したらシーン終了)

 

●シーン4
◆解説
集合シーン
PCたちの顔見せと情報共有。


●シーン5
◆解説
pc①
ヒロインとの触れ合いを描写してplのモチベを上げるシーン。


▼描写
キミと紗季との出会いから一週間が経った。
家出同然だった劣悪な状況から衣食住の整ったUGNに保護された彼女は、最初こそ警戒心を持っていたが、徐々に打ち解けてきたようだ。
UGNでの訓練を受けることで紗季は突発的な暴走を何とか抑えられるまでになっていた。
最も、制御しようとする一番の理由は、キミだ。
紗季に人間として接してくれるキミを傷つけないよう、その力をコントロールしようとしている。

キミは紗季の要望で河原に出ている。道の両側に植えられた桜から花びらを緩やかに降ってくる。
紗季に抱えられたベレトは眼前に舞う花びらをペシペシとはたき落としている。
まだ人が多い場所は怖いのか、人通りが少ない場所を選んでいる。
キミが見守る中、紗季はベレトとじゃれている。
猫じゃらしで遊び、追いかけっこをしたり、ご飯を上げたり。

思う存分、遊ぶとキミの元に戻ってきた。

「PC①さん、今日はありがとう」
「私は化け物だから、悪魔だから、生きてちゃいけないって言われたから、ひとりぼっちで生きようって」
ぽつぽつと語り出す紗季。
「でもベレトだけは心が壊れかけた私と一緒にいてくれた」
「PC①さん、ベレトの名前の由来知ってる?」
「ベレトって言うのはね、ネコさんの姿をした怒りっぽい悪魔さんなの」
「今でこそ、人なつっこいネコさんだけど、最初にあったときは、そうはもう怒りっぽかったわ」
「ねー?」
紗季が笑いながらベレトに同意を求めると、ベレトはニャーと一声鳴いた。
『おい、PC①。なにニヤニヤしてやがる』
ベレトから直接脳内に文句が飛んできた。
キミに対して紗季が笑顔を向ける。
「またいつか一緒に桜を見に来ましょ、私、花見をしてみたいの。そのときはPC②さんも、PC③さんも。もちろんベレトも!」

●シーン6(PC②)
◆解説
ボスからの忠告。
ヒロインは力を制御できない。UGNでは彼女を上手く扱うことは出来ない。一生閉じ込め続けるのかね?
FHなら彼女はその力を十全に発揮できる。
断られたら終了。
(コレクターがPC②に対して忠告をしに来るシーンということを伝える)
(どこで何をしているか訊く)


▼描写
気づくとキミの目の前にスーツ姿の男が立っている。
「やぁ、PC②さん、お久しぶりです。コレクターです」
「松井紗季さんを渡してくれませんか」
コレクターは左腕のスーツをめくる。鋭い刃物で切りつけられたような傷が一直線に走っている。
「これは彼女につけられた物です」
左腕に走る傷は完全に塞がっており、左手を何度か握っては開いてを繰り返すと元に戻した。
「彼女の力はFHのもとでこそ輝く」
「彼女はいつ爆発するか分からない爆弾だ」
「突然爆発し、辺り一面を切り刻む兵器、それが彼女ですよ」
「知っていますか? 彼女は自身の力で家族さえも傷つけた」
「化け物、悪魔そう罵られた紗季さんは逃げるようにして家を出た」
「まぁ、ありふれた悲劇ですね」
「FHなら方向性の無い無軌道な力に目標を与えて差し上げられる」
「すなわち、暴力を抑えるのでは無く、誰に振るえば良いか。それを教えられます」
「何故我々オーヴァードがこそこそ隠れなければならないのか?」
「何でも切り裂く不可視の風の刃? 素晴らしいじゃ無いですか」
「押さえつけようとするなんてもったいない! 見せつけてやりましょうよ。我々は化け物なのだと、人間を虐げる者だと!」
「あの素晴らしい力をUGNで飼い殺しにするつもりですか?」


■情報収集
◆ベレト
〈情報:UGN、裏社会、FH〉8
黒猫に憑依したまま戻れなくなったオーヴァード。
RBやAオーヴァードといった存在とは違い、肉体そのものはネコであり、非常に打たれ弱い
現在の動物から別の動物に乗り移る際、本体を経由する必要があるため、他の動物を乗っ取ることは不可能。
松井紗季には同情的で、幼い彼女を守らなければと降りかかる様々な危機を解決していた。
ちなみにネコはメス。

◆コレクター
〈情報:UGN、裏社会、FH〉8
FHエージェント。
本名、吉武 准。モルフェウス/ノイマンのクロスブリード。カードに収納した様々な物品を利用し、戦闘を有利に進める。
自身も強力なオーヴァードであるうえに、カードに封印している無数のジャームにも注意が必要。
物腰柔らかで一見紳士然としているが、一度欲した物はどんな手段を用いても手に入れることからコレクターと呼ばれる。
現在は新たなオーヴァード勧誘のためPC③の管理区域で活動中。


◆松井紗季
〈情報:UGN、噂話〉8
ハヌマーンのピュアブリード。鋭利な空気の刃を生成し、射出する能力を持つ。
自身の制御不能の力により家族を傷つけた過去を持つ。その後、家を離れ路上で生活するようになる。
栄養失調寸前の状態だったが、UGNでの保護を受け、快復に向かう。


◆ベレトの人間時代
〈情報:裏社会、FH〉10
本名、小出 玲。10代後半の女性。オルクス/ソラリスのクロスブリード。元FHエージェント。コードネームはインヴィジブル。
周囲の動物を自在に操る能力と、任意の動物に憑依する能力を持つ。憑依中は対象の感覚器官を十全に扱えるが、彼女自身の本体は意識不明になる弱点がある。
その能力の都合上、偵察や潜入、暗殺などの任務を主に遂行していた。
しかし、任務時に味方の裏切りに合い、彼女の本体は死亡した。
記録上では死んでいるが、実際にはネコとして朽ちる第二の生を選んだ。


シーン7(PC③)
◆解説
ネコとの触れ合い。
過去の諍いを越え協力できるように。
ヒロインが安心してUGNで暮らせるように託す。


▼描写
UGN支部長室。キミは机に向き合っている。
いつからいたか、部屋ではベレトが丸くなっている。
『よぉ、支部長さん』
『UGNなんてと思っていたが、ここは良い場所だな。皆、紗季に優しい』
『オレもFHじゃなくてUGNに出会えていれば…、そう思うよ』
『今まで随分と汚いこともやってきた』
『ただガムシャラに任務をこなしていた。その結果、ちょっとしたミスでオレは自分の体を亡くした』
『少しホッとした。もう任務をこなす必要は無い、オレは自由だ、そう思った』
『それと同時に初めて人の絆と上からの任務がオレを作っていたことを知った』
『知っているか、繋がりの無いオーヴァードはすぐにジャームになる。誰しも人でも物でも何かしら支えがあって生きてる』
『そんなオレに微笑んでくれたのが紗季だ。自分も家を追い出されて辛かっただろうに、しつこくオレに構ってきた』
『ベレトなんて名前までつけてさ』
『オレは紗季に救われたんだ』
『何故紗季がベレトなんて名付けたと思う?』
『紗季は自分のことを悪魔だと言った。悪魔の紗季は人とも動物とも一緒に居られないけど、同じ悪魔なら一緒に居られる』
『だから私とお友達に会ってくれる貴女もきっと悪魔だってさ』
『まぁ、俺たちみたいなオーヴァードじゃ無ければ、あのじゃじゃ馬の隣には居られない』
『もうオレがいなくても紗季は大丈夫だ』
『紗季には、お前たちのような支えがいる。幸せに暮らせるようにどうかよろしく頼む』


シーン8(PC①)
◆解説
ヒロインの力が暴走して周囲を切り刻む。
ヒロイン逃げ
紗季からの攻撃は宣言だけで避けたことにしても良いし、紗季の攻撃で負傷を描写しても良い。
いずれにしてもPCはダメージを受ける必要は無い。


▼描写
キミと紗季は昼間の繁華街に来ている。今日はベレトはいない。何でも用事があるようだ。
これは人混みを克服するための訓練だ。
紗季は少し青い顔をしているが、気丈に振る舞っている。
(簡単なデートシーンを描写)
キミと紗季はアイスクリームを食べたり、服屋を覗いた。
「私、この力が目覚めてからこんなに遊んだの初めて」
「世界にはこんなにも楽しいことがあって、忘れていたわ」
「こうやって好きな人と穏やかに暮らして素敵な日々をおくるの」
顔を真っ赤にした紗季が慌てて手をぶんぶんと振る。
「あっ、好きな人っていうのは、それは……」
どくん、と紗季の胸が大きく跳ねる。
「え…?」
レネゲイドの力が急激に活性化する。
感情の大きな揺れに紗季の力が暴走する。
苦悶の表情を浮かべ胸を押さえる紗季。
「嫌だよ、だって私は…」
抑えがたいほど膨張した力が……弾ける。
「うあぁぁぁぁぁ!!」
周囲一帯に不可視のかまいたちが吹き荒れる。
人が、物が切り裂かれる。
笑顔に溢れていた繁華街は、しかし突如暴走した紗季の力によって阿鼻叫喚の様相を呈していた。
運悪く巻き込まれた人々は悲鳴を上げ、痛みにのたうつ。
唯一の救いは、紗季が訓練により、多少とは言え能力を制御できていた点だろうか。そうでなければ死人が発生していただろうことは想像に難くない。
「わ、私、こんなはずじゃ…」
自分が生み出した地獄から目を背けるため、紗季は訳も分からず走り出した。


シーン9(PC①)
◆解説
ボスが捕まえる→ボスとヒロインは退場


▼描写
夕暮れ時、紗季は河原で一人うずくまり泣いていた。
沈みゆく太陽が少女の涙を照らしている。
(私は力をコントロールできなかった…)
(誰かを傷つけずにはいられない悪魔、化け物…)


(PC①に登場してもらって適当に話す)
「私、やっぱり悪魔だったんです」
「お父さんにお前は生きてちゃ行けない子なんだって言われたとき、心が張り裂けそうに痛みました」
「それでも生きていたいって、きっと生きていれば楽しいこともあるんだって自分に言い聞かせました」
「でも、何だか疲れてきちゃいました…」
「私はこの力をコントロールできなくて、誰かを傷つけ続けて、大切な人が出来ても一緒に居られない」
「私は死んだ方が良いのかな」

(PC①が何らかのリアクションをする)

キミたちの間に何枚かのカードが風に乗って運ばれてきた。
カードに書かれていた怪物群は、即座に実態を取り戻し、キミと紗季を分断した。
「死んだ方が良いのは、貴女に暴言を吐いた有象無象です、レディ」
コレクターが紗季の傍らに現れる。
(紗季を助けようとしたらジャームが大量にいるため難しい旨を伝える)
逃げようとする紗季の腕をコレクターが左手で掴む。
「人の顔を見るなり逃げようとするなんて傷ついてしまいますね」
「離して!」コレクターの手から逃れようと紗季はもがくが、コレクターはビクともしない。
「貴女は選ばれた存在です。その素晴らしい力を持つ貴女を人々は嫉妬して攻撃するのです。悪魔、化け物と」
「であれば、彼らに示してあげるのがよろしい!悪魔の力を!化け物の力を!」
「FHであればその力を存分に振るえます。さぁ、私と来てください」
(PC①にどうするか尋ねる)
「あぁ、PC①さん、その節はお世話になりました」
「彼女はいただいていきますよ」
右手でスーツの内ポケットからカードを取り出すと紗季にかざす。
コレクターの持つカードの中に紗季が吸い込まれる。(これはEロイス《囚人の鳥籠》の効果である)
「それではご機嫌よう」
(瞬間退場)


シーン10(PC③)
◆解説
支部長室に集まる。
ネコ激昂。UGNなど頼れない。消える→一人でボスと戦いに赴く。
何らかの調査判定成功でボスの居場所が判明。

 

▼描写
『どういうことだPC③!』
支部長室にベレトが乗り込んでくる。
『お前らなんかに紗季を預けたばっかりに!』
口が悪く怒りっぽい彼女であったが、ここまでの激昂を見るのは初めてだ。
『お前らに頼ったオレがバカだった、紗季はオレが取り戻す!』
ベレトは空いたドアの隙間を駆け抜けていった。

コレクターを追うには、 GMが適当だと認める技能(〈知覚〉や〈情報:噂話〉など)で難易度9の判定に成功する必要がある。登場したPCは、1回だけ判定を試みることが出来る。
全員失敗した場合、改めて侵蝕率を上げて判定すること。

コレクターが潜伏している場所が判明する。街外れにある小高い山の廃工場がアジトのようだ。


シーン11
◆解説
マスターシーン
ネコとボスとの戦闘が始まるシーン。


▼描写
資材も撤去され荒涼とした雰囲気を漂わせる廃工場内。
適当な設備に腰掛けたコレクターは手中のカード群をシャッフルして時間を潰す。
月光が薄く差し込む中、闇夜に溶け込むような黒猫が現れた。
「どうも、こんばんは」
『紗季を返せ』
静かな怒りに満ちた声がコレクターの頭に響く。ベレトの怒りは頂点に達し、一周回って冷静に物事を考えることが出来るようになった。
「返すことは出来ません。ですが、紗季さんと一緒にFHに来ませんか」
「貴女の過去を調べましたが、素晴らしい。実に見事な潜入能力」
「我々の元で再び活かしてみませんか? それに我々の技術があれば人間に戻れるかもしれませんよ。このままネコとして死ぬつもりですか?」
『断る。紗季はオレを照らしてくれた光だ。闇の世界を知る必要はない。返してもらうぞコレクター!』
ベレトが牙を剥く。それを見たコレクターは肩をすくめる。
「残念ですよ。貴女はFHでもUGNでもない、どっちつかずの裏切り者だ。インヴィジブル、貴女を処刑する」
久しく聞いていないかつての名前、罪の象徴。
だが、紗季は薄汚い自分に与えてくれたのだ、名前を。過去を断ち切るようにベレトは叫ぶ。
『オレの!名前は!ベレトだ!!』
怪物同士の戦いが幕を開ける。


シーン12(PC②)
◆解説
戦闘シーン
ボスが待ち受けるクライマックス前にミドルで戦闘。
ボスが設置したジャームと戦闘。
参加するPC全員でひとつのエンゲージ。
PCから5m離れた位置に、ジャーム
データはクリムゾンビースト(ルルブ2:266P)を参照。

▼描写
廃工場目指し、キミたちは疾走する。
目的地まで目と鼻の先、と言ったところで、目の前が暗くなる。
キミたちの元に、4m強の不定形の存在が立ち塞がった。
漆黒の玉虫色に光る粘液状生物の表面に無数の目が浮いている。
月光を弾く、悪夢から這い出て現実を侵す狂気の存在。
耳を軋ませる不気味な音を発しながら、ぶよぶよした塊はキミたちを押しつぶそうと殺到する。

(2ラウンド以内に突破できなければベレトが死亡することを伝えること)

 

クライマックス

ボスとの戦闘
◆解説


戦闘配置
PC全員でひとつのエンゲージ。
PCから5m離れた位置に、ボスとジャーム:クラッシャー×2
ボスのデータはストレンジャーズ:イェーガー(ルルブ2:268P)を参照。
加えてボスは《ラストアクション》、《魂の錬成》2を取得。また、Eロイス《囚人の鳥籠》を取得。


▼描写

キミたちは廃工場に踏み入る。
場内は惨憺たる様相を示し、辺り一面には様々なジャームの死骸と、砕け散った多種多様な武器が打ち捨てられている。
戦闘で所々痛んだスーツの男、“コレクター”はキミたちと向き合った。
「表のジャームを突破してきたのですか、意外と早いですね(間に合わなかった場合、「遅かったですね」)」
「(ベレトのことを聞かれた)いやいや、偵察向きの非戦闘系オーヴァードだと思っていましたが、中々どうしてベレトさん、本当に強かったです」
コレクターが右手人差し指と中指で挟んだカードにはデフォルメされた黒猫が描かれている。
命を掛けた闘争の高揚からコレクターは饒舌にまくし立てる。
「ですが、そんな彼女も今では私の貴重なコレクションの一つです」
「ハンターが己が仕留めた動物を剥製にして誇るように、私はこのカードを眺めるたびに強敵との戦いを思い出し、一人笑むのです」
「(間に合っていた場合)彼女は生きていますよ。私を倒せれば助けられるでしょう、最も貴方方には無理でしょうがね」
「(間に合わなかった場合)剥製にして飾られた戦利品は生きていると思いますか?つまりはそういうことです」
「紗季さんもいずれ私好みに育て上げた暁には、私の永遠のコレクションに加えて差し上げますよ」
「ベレトさんに随分と手札を減らされましたが、まだ多少の余りはあります」
「それだけでも貴方方を倒すには十分です」
「貴方方が私のコレクションにふさわしいか、見定めて差し上げますよ」
落ち着いた紳士然とした男はそこには居ない。初めからそんな者は居ない、全て偽物だ。
牙を向き、愉悦に歪んだ醜悪な笑みを浮かべたジャームがキミたちを見据える。


どんなに人間のように見え、人間のように喋ったとしても、最終的には自分の欲求には勝てない。
それがジャームだ。
絆を断ち、自身の欲望に押しつぶされた、人間とはどうしようもなく相容れない化け物。“それ”がキミたちの眼前に立っている。
キミたちの体内でレネゲイドが異常に活性化していくのを感じる。
衝動判定を行い戦闘へ。

 

 

バックトラックを行う。
コレクターはEロイス、《囚人の鳥籠》を取得している。
バックトラックでは、侵蝕率を1D10引き下げること。


エンディングはPLたちの希望に合わせて描写すること。


PC①

紗季
「私、もう逃げない。自分の力と向き合っていくって決めたから」
「いつか自分の力を制御できるようになって私と同じように苦しんでる人を助けたい」
「だから、私がコントロールできるまで、傍にいてくれませんか」

PC③

ベレト
『今回の件で自分の力不足を実感した』
『強くならなきゃ守れない物がある、そう気づけた』
『オレをここに置いてくれないか』
了承したら終了

PC②
適当に。