脳に重大な欠陥を負ったヨタモノ

TRPGとかTCGとか仮面ライダーとかソシャゲとか…

【DX3rdシナリオ】Find the thing which I lost

プリプレイ


ストーリー
PC①には鈴奈という妹がいる。
しかし、子供の頃、神社に忘れ物を取りに行くと言ったきり戻ってくることはなかった。
レネゲイドビーイング“カンナギ”に寄生されたためだ。
PC②には宮本詩織という恋人がいる。
しかし、3年前、ジャームに襲われたことで自力での歩行はできなかくなってしまった。
時は流れ、最近になって“カンナギ様”という噂が流れ始める。
曰く、カンナギ様に願うと何でも願いを叶えてくれるという。
詩織はカンナギ様に『PC②の隣に立てますように』と願った結果、
歩けるようになった。
しかし、暴走した詩織はPC②すら牙をむく。
本シナリオは、鈴奈に寄生した、人の願いを歪んだ形で叶えるカンナギを倒したら終了となる。


トレーラー
昨日と同じ今日、今日と同じ明日。このままの日々がずっと続くと思っていた。
その日までは――

かつて一人の少女が夏の陽炎の向こうに消えた。
だが今になり、少女は姿を現した。

巷に流れる噂。
人の願いを叶える存在。

奇跡を願う者の払う代償は如何ほどか。


ダブルクロス The 3rd Edition『Find the thing which I lost』
ダブルクロス――それは裏切りを意味する言葉。

 

シナリオデータ
プレイヤー人数:3人(4人以上は設定生やしてください)
プレイ時間:3~4時間

ステージ
東京N市を舞台とする。

PC間ロイス
PC①→②→③→①の順番で結ぶこと。PLが4人以上の場合も同様にPC間ロイスが1巡するように結ぶこと。

シナリオハンドアウト
各PCには以下の設定がつく。
PC①:妹がいるが、子供の頃失踪している。何年前に消えたかはPLと決めること。推奨は男性。女性の場合は、セリフを改変する事。
PC②:恋人がいる。3年前、ジャームに襲われた際にオーヴァードに覚醒した。推奨は男性。
PC③:UGN支部長。


PC用ハンドアウト
ロイス:鈴奈(すずな)
推奨感情  P:任意/N:悔悟
カヴァー/ワークス: 高校生/指定なし
キミの妹、鈴奈はキミが子供の頃、失踪した。
彼女が消えた場所、小高い山の神社に今日もキミは訪れる。
当然誰もいない。踵を返したキミの耳に鈴の音が聞こえた。
「やぁ、兄さん」そこには消えたはずの鈴奈が立っていた。

PC用ハンドアウト
ロイス:宮本詩織(みやもと・しおり)
推奨感情  P:任意/N:悔悟、憐憫など
カヴァー/ワークス: 指定なし/指定なし
宮本詩織はキミの恋人だ。
3年前、キミと彼女はジャームに襲われ――
キミはオーヴァードとして覚醒し、彼女は歩けぬ身体となった。
しかし、車椅子での生活を余儀なくされていた詩織が突如として
自らの足で歩けるようになったのだ。


PC用ハンドアウト
ロイス:カンナギ
推奨感情  P:執着/N:脅威
カヴァー/ワークス: 指定なし/UGN支部
キミはあるジャームを討伐した。
しかし、トドメをさしたはずの男の口から明瞭な言葉が紡がれる。
「私の名はカンナギ。人の願い叶えし者」
どうやら事件の裏には黒幕がいるようだ。

 

オープニングフェイズ


シーン1(PC①)
解説
PC①の妹、鈴菜が失踪したシーン。逢魔が時に鳥居をくぐった鈴菜はカンナギに魅入られ、神隠しに遭う。
過去を回想した後、意識は現在に戻る。
いなくなった妹を探し求めるかのように度々、神社に訪れるPC①の元に鈴菜が帰ってくる。
PC①が鈴菜と共に一緒に行くことを強く勧めた場合、描写3を読み上げること。
また、PC①が明日探すようにいって来る場合も、彼女はPC①を置いてでも一人で行こうとするだろう。
言い争っている間にも日は暮れているのだ。

描写1
PC①と鈴菜、幼いキミたちの遊び場所は、小高い山を登った神社の境内だった。
季節は夏だったが、周りが森に囲まれていたからだろうか、そこまで暑くなかった記憶がある。
茜さす頃、遊び疲れたキミたちはもうすぐ家に着くところだった。

セリフ:鈴菜
「あっ、鈴菜の鈴がない……!」
「神社に落としたのかも……」
鈴菜、行ってくる!」
「大丈夫だよ!何回も一人で行ってるし!」(PC①から心配された際)
「それじゃ一緒に行こう!」(PC①から強く一人では危ない等の言葉があれば)

描写2
ある日、PC①がプレゼントした鈴のストラップを神社に忘れてしまった彼女は、神社に向かうと言ったきり戻ってこなかった。
大人たちは言う。彼女は神に魅入られたとも……。

描写3
夏の夕暮れ。日はほぼ落ちかけ、ひぐらしの鳴き声が聞こえてくる。
君の前、鈴菜が石階段を駆け上がっていく。
微かに残った茜色の残照を背に、鈴菜は鳥居を潜った。
キミは少し遅れて神社に脚を踏み入れた。
もう日が暮れ、急速に辺りが暗くなり始める。
キミの妹――鈴菜の姿はどこにもなかった。

描写4
月日は流れ、現在。PC①たちの懸命な捜索でも彼女は見つかることはなく、行方は杳として知れない。
キミは彼女が戻ってくるのではないかと件の神社を訪れた。
当然誰もいない境内。蝉の声だけが世界を満たしている。
踵を返したキミの耳に、涼やかな鈴の音が聞こえた。
「兄さん、久しぶり」


セリフ:
結末


シーン(PC)
解説
PC②と恋人。
PC②とのデートの帰り道、ジャームに襲われ、彼女は半身不随。
自身は死によりオーヴァードに覚醒。PC②の覚醒は、“死”、“憤怒”、“渇望”のどれかが望ましい。
PC②と詩織を襲ったジャームはエキストラのため、宣言だけで倒すことが可能。
ジャームを取り逃がす、倒す、後のことはPC②と話し合って決めること。PC②の望むように描写をすること。
詩織は事件後、車椅子での生活を余儀なくされる。
UGNが経営している病院のため設備も豊富だが、この傷は現代の治療では快復することは難しい。
このシーン開始時では、PC②はまだオーヴァードとして覚醒していない。侵蝕率を上昇させる必要は無い。

描写1
これは3年前の記憶。
キミと宮本詩織は付き合っている。
夕焼けが美しく世界を照らし出す中、遊びに出かけていたキミたち二人はたわいもない談笑をしながら帰途についていてた。


セリフ:宮本詩織
「今日は楽しかったね、また遊びに行こうね」
「駅前に新しくクレープ屋さんが出来たらしいよ、今度食べにいこ?」

描写2
キミたちの歩く道の先、奇妙な男が立っていた。
真夏だというのに、ロングコートを着込み、カタカタと身体を揺らしている。よく見ると吐く息が白い。
見るからに異常者のそれだが、帰るにはこの道を通るのが一番早く、迂回しようとすると時間が掛かる。
「……たし、…ま…おん……ど……あ…な」
男の口から不明瞭な言葉が漏れた。
キミたちは男からなるべく離れてすれ違おうとした。
周囲の音が消えた。
気持ちの悪い蒸し暑さがキミを包む。
「私いま体温何度あるのかな」
今度はしっかりと聞き取れた。
男は、通り抜けようとしていたキミの手を右手でガッシリと掴んだ。人間の手にはあるまじき凍り付くような超低温だった。
コートに隠されていた男の左腕の輪郭が異常に膨れ上がる。
次の瞬間、コートを破り何本もの鋭い触手がキミたち二人に殺到し――
貫いた。
「アーイイ……血だけが寒さ和らげてくれる……」
二人を串刺しにした触手がドクンドクンと脈打つ。
その度にキミたちの身体から力が抜けていく。
触手を介して血液を啜っているのだ。
満足したのか、男はゴミを扱うかのような無造作でキミたち二人を投げ捨てた。
「ごちそうさま」
男は倒れ伏すキミたちに適当に手を合わせると踵を返した。

キミの目の前に詩織が横たわっている。
今すぐに病院に連れて行かなければ、彼女は死んでしまうだろう。もちろん、キミも。
死に瀕したキミの身体の中、“力”が蠢く。細胞の一つ一つが別の存在に作り替えられるような感覚。
キミは今ここに超人として覚醒を果たしたのだ!

描写3
時は現代。キミは詩織が座る車椅子を押している。
彼女は一命を取り留めた。しかしジャームに貫かれた位置が悪く、脊髄を損傷した。
自力で歩くことは叶わず、こうしてキミの助けを必要としている。
キミはUGNのエージェントとなった。
詩織の記憶もUGNによって無理のないカバーストーリーが用意された。

セリフ:詩織
「いつもありがとねPC②くん」
「私、ドジだから階段から落ちて背中を打っちゃったんだ」
「ほんとにドジで……なんで……こんな……」(詩織は涙ぐむ)

結末



シーン(PC)
解説
PC③がカンナギと邂逅するシーン。
別に父親が妻と子供を喰っている描写は必要ないので、端折っても問題なし。
直接ジャームを倒したとしても良い。
カンナギは“信徒”の行動に関与してくることは少ないが、“信徒”の五感と感情を
ある程度把握している。これも人間を理解したいというネレゲイドビーイングの特性だ。

描写
キミとキミの部下は、ジャームがいると目される家屋に侵入している。
夜だというのに温度は下がらず、湿度ばかり上昇したため不快な暑苦しさが肌にまとわりつく。
家の中には死臭が充満している。
部下が居間の扉を蹴り破り、クリアリングを行う。
窓から差し込む薄明かりが居間を照らし出す。
赤黒い血だまりの中、母と子供の死体を一心不乱に貪る男がいた。
男はキミたちに気がつくと顔を上げた。

セリフ:父
「妻と娘が最近、私に冷たいんだ」
「仕事から帰ってきてもろくに夕飯はないし、外で食べようにも財布は妻が握っている」
「私は腹が減って腹が減って……」
「食べてしまったよ、妻と娘を!ハハハ!」

描写2
激闘の末。
キミたちの前には、討伐したジャームが壁に背を預ける形で事切れている。
トドメを刺し、生命活動を停止したはずの男の口が開いた。
先ほどキミたちが対峙したジャームとは明らかに異なった口調だ。

セリフ:カンナギ
「私の名はカンナギ。迷える人の子の願い叶える者」
「何故我が“信徒”の尊い夢を踏みにじる?」
「彼は妻と子供との関係が上手くいかず、煩わしさを感じていた。だから私は、その願いを叶える力を授けた」
「彼は自身の力で未来を切り開き、自由を手に入れた」
「素晴らしいじゃないか、人の願いは実に尊い
「キミも私に祈りたまえ、さすれば叶えられん」
「それではさようなら」

結末
ジャームは塵となって消えた。
シーン終了。

ミドルフェイズ

シーン4(PC②)
解説
PC②の恋人が歩けるようになったシーン。
詩織はカンナギに『PC②の隣に立てますように』と願った。
その願いは叶い、見事彼女は自身の足で歩けるようになった。

描写
朝、キミは目を覚ました。
窓の外は清々しい夏空だ。今日も暑くなるだろう。
キミの家のチャイムが鳴る。
(PC②がドアを開けたら)
キミの目の前で宮本詩織が立っていた。

セリフ:詩織
「おはよう!PC②くん!」
「奇跡が起きたんだ!私、歩けるようになったの!」
「カンナギ様に願ったんだよ!」(足がなぜ治ったのか訊いた場合)
「カンナギ様は人の願いを叶えてくれる神様なんだよ!」(カンナギが何者なのか訊かれた場合)


シーン5(PC①)
解説
妹との生活を描写。
PC①と話し合って、何をしたいか決めること。
失踪してからの時間を質問しても鈴奈ははぐらかす。
描写
セリフ:
結末



結末
適当にPC②と会話をしたらシーン終了。

情報収集
次の5つの情報を調査できる。必要があれば、情報収集を行うシーンやPC間での情報交換シーンを演出すること。
神社やカンナギの正体などは特に考えてないため、PLに訊かれた際は正直に考えてないと言っても構わない。
シナリオのフレーバーとして回す際に付け加えても構わない。

宮本詩織
〈情報:噂話、UGN〉8
PC②の恋人。非オーヴァード。
かつてPC②と共にジャームの襲撃に遭い、現在半身不随。
車椅子での生活を余儀なくされるが、最近、奇跡的な快復を遂げた。
彼女曰く、“カンナギ”という存在に脚の快復を願った結果、歩けるようになったとのこと。


鈴菜
〈情報:噂話、UGN〉8
PC①の妹。所持していた鈴を神社で無くしたとして取りに行ったきり戻ってくることはなかった。
当時、神社の付近と鈴菜が行きうる場所を、大人たちが徹底的に捜索したが見つけることは叶わず。
しかしながら最近になって突如として帰還を果たした。


カンナギ
〈情報:噂話〉7
最近になって観測され始めた噂話。
曰く、夕暮れ時に心からの願いを込めて鈴を鳴らすとカンナギ様が現れて願いを叶えてくれるとのこと。


“信徒”
〈情報:UGN〉8
カンナギの能力で異能に目覚めた者の総称。
カンナギによって、本人たちが望んだものとは異なる歪んだ形で叶える力を与えられる。
大抵の場合、身近な人間を対象にして願うため、それらを自身の手で傷つけてしまう。
その結果、願いが叶ってしまうと対象との絆を喪失し、ジャーム化する。
これらはEロイス《愚者の契約》として処理される。

春日恭二
〈情報:裏社会、UGN〉8
FHエージェント。カンナギが生み出すオーヴァードに興味を示し、カンナギをFHに引き入れるために行動している。






トリガーイベント


シーン6(PC③)
条件:春日恭二について情報収集を行った
解説
春日登場。倒すと従者は塵となって消滅する。
春日との情報交換シーン。
春日が持っている情報以下の通り
・カンナギがレネゲイドビーイングであること
・カンナギの衝動が解放
・カンナギの“信徒”が従者であること
・“信徒”は倒すと塵となって消滅する

PCが情報交換を拒んだ場合や、春日が情報を与えたのに何もPCが何も情報を提供しなかった場合、春日との戦闘になる。
データはルールブックⅠ353Pを参照。


描写
キミの周辺でワーディングが展開される。
神経質そうな白服の男――春日恭二と、地味な女が戦っている。
「全部、世界が悪い!私は悪くない!そうよ、貴方が悪いのよ!」
吠える女に対して春日は鼻で嗤う。
「私もそう思っていた時期がある。がむしゃらに頑張るしかないんだよ」
女が繰り出す連撃を余裕で捌くと、一瞬の隙を突き、異形化した腕で女の首を切り裂いた。
「隙だらけだ」
倒された女の身体は塵となって崩れた。
春日はゆっくりとキミに向き合った。

セリフ:春日恭二
「やぁ、UGN支部長殿」
「私の名は春日恭二。以後お見知りおきを」
「情報交換といこうじゃないか。キミたちは、人間をオーヴァードに強制的に覚醒させるカンナギを倒したい。私はそんなカンナギをスカウトしたい」
「どちらもカンナギに行き着かなければ話にならない」
「そこで、互いの持っている情報を出し合いカンナギを見つけよう」
「発見した後は言うまでもないだろう?」(見つけた後を聞かれた場合。戦うことを示唆する)

「ならば仕方ない、痛い目にあってもらおうか」(情報交換を拒んだ場合)

「カンナギは恐らくレネゲイドビーイング(RB)だ」
「人を知りたいという基本スタンス、人の願いを叶えて“やる”と自分が神であるかのような傲慢さ」
「そしてカンナギというコードネーム。これは神の依り代の意を指す」
「以上のことから、奴はオリジン:レジェンドのRBだと考えられる」
「また、カンナギの衝動も推測できる。オーヴァードの力が世界に知られることを厭わない姿勢と、他者の夢を成就させる自分の力に酔った言動から衝動は解放だろう」

「これは興味深いことなのだが、カンナギは厳密には人間をオーヴァードに覚醒させているわけではない」
「実際には奴が言う“信徒”とやらを従者に変質させている」
「通常、オーヴァードに覚醒した者は一人一人異なった能力を持つ」
「しかしカンナギの能力によって目覚めた者はどれも画一的な力しか持たない上に、倒された場合、塵と消え死体も残らない」
「これはブラム=ストーカーシンドロームが持つ従者の特徴と一致する」
「奴が生み出す“信徒”が従者だとすると両手で数えられる程度しか存在できないはずだ」

「私が知っているのこんなところか。では、キミたちの情報を教えてもらおうか」
「では、さらばだ」

結末
情報交換を終えた春日は退場。


シーン7(PC②)
条件:宮本詩織について情報収集を行った、シーン6の直後
解説
詩織がPC②を襲撃。
詩織はカンナギの力によって一時的にオーヴァードの力を振るえるが、
Eロイス《愚者の契約》により彼女が望むものとは異なる歪んだ形で叶えようとする。
詩織のデータは、クライマックスの従者を参照すること。
PC②以外のPCは適当なタイミングで戦闘に参加してもよい。
戦闘開始時、詩織を1つのエンゲージ、5m離れてPCたちのエンゲージとする。
彼女は戦闘不能になったら消滅する。
PC②が詩織をSロイスに指定する等、妥当だと思われる説得をPC②が行った場合、
それを彼女は受け入れ、戦闘は終了する。
説得に成功した場合、詩織は《鮮赤の牙》を断ち切り、カンナギの支配から逃れる。
同時に彼女の足は再び動かなくなる。

描写
キミは詩織と一日を過ごした。
共に映画を見て、食事を摂り、買い物を楽しんだ。
日も暮れ辺りに夕闇の帳が降りた頃。
キミたちは帰途についていた。涼しげな風が時々吹いて、遠くから風鈴の音が聞こえてきた。
かつてキミたちがジャームに襲われた箇所に差し掛かった。
彼女は、立ち止まる。
周囲の音が消えた。ワーディングだ。
既に風は止んで、気持ちの悪い蒸し暑さがキミを包む。

セリフ:宮本詩織
「私ね、PC②くんにずっと感謝していたんだ」
「車椅子での生活を助けてくれて、こんな私と一緒にいてくれて」
「私もPC②くんが困っていることがあったら助けてあげたい、次は自分の番だって思ってたんだ」

詩織の身体がバキバキと異音を立て、変化していく。
たおやかな腕は深紅に染まり、肘や爪が硬く鋭く異形化する。
「私さ、全部思い出したんだ。あの時のことも」
「PC②くんはさ、力を持たない一般人の私を内心見下していたんでしょ?」
「自分は死にそうになって力が覚醒。それでも女の子一人守れなかった。もう少し早く、目覚めていれば……なーんて」
「そんなアニメの主人公のような気持ちで私に接していたんでしょ?」

「だからさ、次は私の番。PC②くんが車椅子で私が介護ね」(戦闘開始)

「私は、力を手に入れたの!失いたくない!」(PC②に攻撃された場合)
「もう車椅子に戻るのなんてイヤ!」

「もう少し、早くあなたが目覚めていれば……私は……こんな……」(倒された際、塵となって消える)


「私、頑張ってみるよ」(説得に成功)
「奇跡はおきるんだって、こうして自分で立てるって分かったの」
「いつの日か、誰かの力でなく、自分の力で歩いて見せる」
「だから、それまで待っていてくれますか?」
詩織は大きく息を吸うと凛とした声で宣言する。
「聞いているのでしょう、カンナギ!私は借り物の奇跡なんて必要ない!好きな人の隣には自分の足で立つのよ!」
どこからか鈴の音が響き渡る。
詩織がまとっていたオーヴァードの気配が消え去り、彼女は意識を失った。


結末

シーン8(PC①)
条件:シーン7のあと。適切なタイミングで。
解説
神社への呼び出し。
鈴奈は姿を消す。
PC①が鈴奈からの着信より前に神社に行くと宣言した場合、
描写2を読み上げること。

描写1
キミは朝、目を覚ます。
鈴菜が起こしに来てくれるはずなのだが、今日は何故か姿が見えない。
(PC①が鈴菜を探す)
キミは家の中で鈴菜を見つけることが出来なかった。
それどころか、彼女がいた痕跡すら全て消えている。
鈴菜が戻ってから使っていたコップや衣類、本など彼女に関係する悉くが無くなっている。
まるで初めから鈴菜などいなかったかのように……。キミの額に一筋の汗が伝う。
彼女がいた際は気づかなかった蝉の声が遠く聞こえてくる。

鈴菜を探すキミの耳に夕暮れを知らせるチャイムが響く。
キミの携帯に着信があった。

セリフ:鈴菜
「兄さん、私をお捜しかな」
「話したいことがあるんだ」
「兄さんと別れて、また出会ったあの神社で待っているよ」
「それじゃ」(電話が切られる)

描写2
キミは神社で鈴奈を待ち続けている。
日は傾き、西日が世界を赤く染める。
鈴奈とはこの場所で会えるのではないか、不思議と確信があった。
この場所は昔と変わらない。この社もひぐらしの声も。神域は変わることを拒むのか、在りし日のそのままのように思える。
しゃん……と。
考え事をするキミを清らかな鈴の音が現実に引き戻した。
キミの目の前、鳥居を背に鈴奈が立っている。
「やぁ、兄さん」

結末

シーン9(PC①)
条件:シーン8の直後。
解説
春日来襲。しかし妹に返り討ち。
シーン8で描写2を読み上げていた場合、
このシーンでは描写1を省くこと。
春日は描写だけで倒される。南無。
鈴奈の攻撃方法は、鈴の音を浸透させ内部から爆裂させるもの。


描写1
小高い山の上。幾重にも連なる階段を上り、キミは鳥居を潜り、境内に入った。
黄昏の中、鈴菜が社の近くに立っていた。
間もなく夜になるだろう。

セリフ:鈴菜
「兄さん、夕暮れ時は逢魔が時(おうまがとき)と言うんだよ」
「昼間の妖怪が出にくい時間から、彼らが本領を発揮する夜の時間に変わる境目だそうだよ」

描写2
「そう、これからは闇に巣くう魑魅魍魎が跋扈する時間だ」
石畳を踏みしめ、神経質そうな白服――春日恭二と何人かの男たちが姿を現した。
日は完全に暮れ、蒼白い月が空に浮かぶ。

セリフ:春日
「さぁ、PC①。その娘を渡してもらおうか」
「私と一緒に来ていただきたい。PC①の名字+鈴菜、いやカンナギよ」
「邪魔するというならPC①、貴様から……」

描写3
春日の言葉は最後まで紡がれることはなかった。
突如、しゃんしゃんしゃんと高らかに鈴の音が響いた。
春日が怪訝そうに眉を寄せた瞬間、彼の隣に控えていた男たちの身体が瞬時に何倍にも膨らみ……弾けた。
血が、肉が骨が爆散して周囲に飛び散る。春日の白いスーツを血飛沫が赤く染める。
「なっ、これは……!」
未知の攻撃に、春日の身体も同様に膨れ上がり……弾け飛んだ。
鈴菜の溜息をつく音が聞こえた。彼女の手には、どこから取りだしたのか、神楽鈴が握られている。

セリフ:鈴菜
「闇に巣くう魑魅魍魎の時間って言うならさ、気を抜いたらダメでしょ」


結末
シーンが長くなったのでここでシーン終了。

シーン10(PC①)
条件:シーン9の直後。
解説
鈴菜がPCたちの質問に答えるシーン
PCたちが知りたいことを話したらクライマックスへ。
鈴奈に巣くうカンナギは出来るだけPCたちが心情的に倒しやすいように
スカムとして描写すること。

描写
石畳を紅が汚していく。
本来、不可侵な神域が不浄の穢れで満ちる。


セリフ:鈴菜
「人の願いを叶える内に私自身の願いを思い出したんだ」
「私は兄さんと一緒にいたい。一つになろうよ」
「この記憶も想いも全部、鈴菜の本心さ」(さきほどまでのキミが知っている鈴菜とは調子が異なる口調)
「禁断の恋に焦がれる妹。素晴らしいじゃないか」
「男として、兄として応えて見てはどうかな」
「あの日、夕暮れのこの場所で、彼女は何を私に願ったと思う?」
「『お兄ちゃんと結婚できますように』だ!フフフ……ハッハハハ!」
「愛い(うい)ではないか!なれば私が番いにしてやろうとも!」
「比翼連理の仲に!別ちがたく、離れがたく!永遠に!」
「さぁ、始めよう。魔が支配する時間を!」
(周囲に1体の“信徒”が現れる)


詩織について訊かれた
「彼女の『PC②の隣に立ちたい』という願いも純粋にきらめいていた」
「願いを持つことは素晴らしい。それと同じくらい願いを断ち切ることも、また尊い。彼女のPC②に対する想いは尊敬に値する」

春日について訊かれた
「邪魔だったからさ、隙だらけだよ」


結末
クライマックスへ。

クライマックスフェイズ

クライマックス


解説
衝動判定を行い、戦闘へ。
敵は鈴奈と“信徒”1体。
敵は1つのエンゲージとし、PCのエンゲージとの距離は5mとする。
鈴奈が戦闘不能になったら戦闘終了。
カンナギは消滅する。

描写
セリフ:鈴奈
「兄さん、兄さんは私を消したりしないよね?」(PC①から攻撃を受けた際)
「私は、鈴奈でありカンナギであり、キミの妹だ」
「キミが長年探していた妹だぞ?喜んだらどうだね」(カンナギの口調)

「私が敗れるだと……!?神たる私が、人の願いの化身の私が、何故!?」(倒されそうになったら吠える)
「PC①、PC②、PC③、私に願え!どんな願いでも叶えてやるぞ!」
「PC①、妹が帰ってきてほしいと言え!」
「PC②、貴様は見ただろう!?私の力さえあれば貴様の恋人は歩けるようになるぞ!」
「PC③、貴様にだって叶えたい夢があるだろう!?」

「私はまだ消えたくない!誰か私を見てくれ!祀ってくれ!誰か、私の願いを……」(断末魔)
カンナギの意識は消えていき、後には鈴奈が倒れ伏している。鈴奈は寝息を立てている。

結末

データ
シンドローム:ブラム=ストーカー/ハヌマーン
コードネーム:カンナギ
能力値
【肉体】2
【感覚】3
【精神】2
【社会】1
HP:26(ヴァイタルアップ後76)
装甲:0
行動値:8
侵蝕率:150%(ダイス+4個)



エフェクト:
《赤色の従者》5、《紅の刃》2、《声なき者ども》3、《従者の疾駆》4、《血の宴》3、《血の絆》3、《不死不滅》4、《始祖の血統》4、《夜魔の領域》2、《鮮赤の牙》2、《不死者の血》2、《血色の蛇》3、《ブラッドバーン》4、《ブラッドウェブ》2、《蝕む赤》3
、《ヘルズブラッド》4、《》、
《忌まわしき砲弾》3、《かりそめの狩人》6、《愚者の兵装》2、《盾なる人形》3、《怒濤のつぶて》4、《かりそめの剣士》6、《従者の呪い》2、《かりそめの盾》4、《身代わりの弾幕》2、、《亡者の一撃》4、《コウモリの羽》2
《サイレンの魔女》6、《ブレインシェイク》2、《波紋の方陣》2、《マシラのごとく》4、《ライトスピード》2、《リミットリリース》2、《空蝉》2、《ゴッドウィンド》2、《神速の鼓動》2、《ミューズの調べ》2、《援護の風》6
《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》3、《ヴァイタルアップ》2、《オリジン:レジェンド》2、《瞬間退場》3、《瞬間退場Ⅱ》3

コンボ1
《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》+《紅の刃》+《血の宴》+《始祖の血統》+《ブラッドウェブ》+《蝕む赤》+《ブレインシェイク》
「対象:範囲(選択)」「射程:視界」に射撃攻撃。
《オリジン:レジェンド》込み。
判定は〈RC〉、14個(従者がいる場合、11個)、クリティカル値7。達成値+4。攻撃力+3。
命中した場合、
・そのラウンドの間、対象は戦闘移動、全力移動、ドッジを行うたびに4点のHPダメージを受ける。
・対象にバッドステータスの邪毒を与える。ランクは3LVとする。
・対象にバッドステータスの方針を与える。
解説:
シナリオ3回まで。
鈴奈が奏でる鈴の音はキミたちの精神を侵食する。


コンボ2
《紅の刃》+《始祖の血統》+《ブラッドバーン》+《サイレンの魔女》
「対象:シーン(選択)」「射程:視界」に射撃攻撃。
《オリジン:レジェンド》込み。
判定は〈RC〉、14個、クリティカル値10。達成値+4。攻撃力+36。
装甲無視。

解説:
シナリオ1回まで《リミットリリース》を組み合わせてクリティカル値-1。
鈴奈が高速で神楽舞を踊る。清らかな鈴の音が響き渡り、周囲の物体すべてが内から弾け飛ぶ。

従者

能力値
【肉体】3
【感覚】3
【精神】3
【社会】3
HP:40
装甲:0
行動値:9
侵蝕率:150%(ダイス+4個)



コンボ3
《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》+《かりそめの剣士》+《亡者の一撃》+《忌まわしき砲弾》
従者の爪込み。「対象:範囲(選択)」「射程:至近」に白兵攻撃。
判定は〈白兵〉、13個、クリティカル値7。攻撃力+16。
シーン3回まで使用可能。
解説:
深紅に染まった腕から繰り出される鋭い一撃。

コンボ4
《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》+《かりそめの狩人》+《怒濤のつぶて》+《忌まわしき砲弾》
従者の弓込み。「対象:範囲(選択)」「射程:視界」に射撃攻撃。
判定は〈射撃〉、12個、クリティカル値7。攻撃力+15。
達成値-1。シーン3回まで使用可能。
解説:
バルカン砲の掃射じみて乱射する血の杭。

愚者の兵装で取得するアイテムは以下のものである。
・従者の爪
・従者の弓


戦闘プラン
最初のマイナーで《オリジン:レジェンド》を使用。
従者がいる場合、攻撃は従者に任せ、コンボ1での攻撃を行う。
PCたちが1番多いエンゲージを優先して攻撃する。
従者が倒れた場合、コンボ2で自分以外のシーン全体を攻撃する。
鈴奈が攻撃された場合、従者は《盾なる人形》でカバーリングする。
戦闘不能になったら、《不死不滅》を使用して、1回だけ、HP40で復活する。

エンディングフェイズ


シーン(PC③)
解説
描写
キミは一連のカンナギ事件を、UGN日本支部長、霧谷雄吾に報告している。

セリフ:霧谷
「ご苦労様でした。カンナギを倒さなければ被害は更に拡大していたでしょう」
「奇跡の代償……ですか。人は弱い、だからこそ強くあろうとする」
「くれぐれも悪魔の囁きに負けないようにしてください」

結末
報告を終えたらシーン終了。


シーン(PC②)
解説
描写
詩織は車椅子の生活に戻った。
UGNの記憶処理によりカンナギに関する記憶は消去された。
それに伴って、彼女が一時的に歩けた記憶も……。


セリフ:詩織
「私、夢を見たんだ。PC②くんと一緒に歩いて街に出かける夢」
「妙にリアルで、ビビビッと来たよ。これは予知夢じゃないかって」
「だからさ、その未来にたどり着けるように私、頑張るよ」

結末


シーン(PC①)
解説
鈴奈とのその後を描いてエンディング終了。
鈴奈はカンナギの記憶を覚えていてもよいし、そうでなくてもよい。
PC①と話し合って描写をすること。
描写
セリフ:
結末



アフタープレイ
エンディングが終了したらアフタープレイを行うこと。
レコードシートの項目をチェックして経験点を算出する。
本シナリオの目的を達成したは、5点となる。